6.4. 発酵 : 食物のエネルギーの嫌気的な獲得
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発酵 fermentation
嫌気的 anaerobic(酸素なしの)な食物エネルギーの獲得
ヒトの筋細胞における発酵
走り始める→筋肉は嫌気的な条件下で運動を強いられる
血流が肺から筋肉へ酸素を送る速度を上回る速度でATPを消費するから
15秒間嫌気的に働いた後、筋細胞は発酵の過程によってATPを合成し始める
発酵は細胞呼吸の第1段階として機能する解糖と同じ代謝経路に依存している
解糖は酸素を必要としないが、グルコース1分子をピルビン酸に分解して2分子のATPを作る
解糖は、細胞呼吸がグルコース1分子あたりおよそ38分子のATPをつくるのに比べると効率的とはいえないが、走るのに十分なエネルギーを脚の筋肉に与えることができる
しかし、嫌気条件下で合成されるATPはもっと少なく、グルコース1分子あたり2分子であるので、脚の細胞が毎秒消費する燃料のグルコースはもっと多くなる
解糖によって食物のエネルギーを獲得するためには、NAD+が電子受容体として存在しなければならない
このことは好気的な条件下では問題にならない
なぜなら、細胞はNADHがその電子を電子伝達鎖に渡してO2に落とすときに、NAD+が再生されるから
しかし、嫌気条件下では電子を受け取るO2がないので、NAD+の再生は起こらない
その代わり、NADHは、解糖で作られたピルビン酸にその電子を与える
こうしてNAD+が再生され、解糖が機能し続ける
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ピルビン酸に電子が与えられると、廃棄物である乳酸が生じる
副産物であるこの乳酸は最終的に肝臓に輸送され、そこで肝細胞が再びピルビン酸に変換する
運動生理学者は乳酸が筋肉の疲労における役割について永らく考えてきた
微生物における発酵
我々の筋肉は乳酸発酵によっては、あまり長い間働きつづけることができない
しかし、グルコースあたり2分子つくられるATPは多くの微生物を生かしておくには十分
このような微生物を、ミルクをチーズやサワークリーム、ヨーグルトに変化させるために飼いならしてきた
また食品産業では大豆から醤油を製造したり、キュウリやオリーブやキャベツをピクルスにしたり、ソーセージやペパロニやサラミを製造するしたりするために発酵を利用している
顕微鏡で見えるサイズの菌類である酵母は細胞呼吸と発酵の両方を行うことができる
酵母を嫌気的な環境に置いておけば、酵母は生きていくために糖や他の食物を発酵することを強いられる
酵母は発酵を行う場合、廃棄物として乳酸の代わりにエタノールをつくる
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このアルコール発酵ではCO2の放出も起こる
数千年もの間、人間はビールやワインのようなアルコール飲料を公募につくらせてきた
発酵を行っている酵母から出るCO2の気泡がパン生地をふくらませる
アルコールはパンを焼くときに放散する
→6.5. 科学のプロセス : 乳酸の蓄積は筋肉のほてりを引き起こすか